
山口県内のテレワーク施設で人とのつながりをつくる働き方
松林 賢志さん
実父の介護で一時的に実家へ行くことに
— 山口県に移住するきっかけについて教えてください。
山口市で生まれ育ち、大学進学を機に上京しました。当時は都会で暮らしたいという憧れがあり、就職もそのまま都内で出版社や広告代理店、印刷会社で15年近く勤めてきました。その後、会社員時代に培ったデザインなどのスキルを活かした働き方がしたいと、コロナ禍の2020年にフリーランスとなりました。移住のきっかけは、独立して間もない頃に父が体調を崩し、妻と子供を千葉の家に残して私一人で山口の実家に戻り、父のサポートをしていました。当初は父の状態が落ち着くまでの一時的なもの思っていましたが、山口で約10ヶ月間過ごす中で心境の変化があり、移住を考え始めました。

子供の時以来の山口での生活は当時にはない感覚があった
—移住という決断に至った要因や家族にどのように相談したかを教えてください。

山口に戻って暮らしてみると、自然に囲まれた環境で四季を感じ、都心にいるより心身が落ち着く感覚がありました。また、夫婦ともにフリーランスになって間もない時期で、収入面に不安がありましたが、山口の方が家賃や物価が安いこともありました。さらに、子供が小学校を卒業する年で、中学・高校に入ってからでは影響や負担も大きく、家族で移住するなら今しかないと思いました。ただ、妻や子供にとっては知り合いもいない、土地勘もない場所なので、ゆっくり心の整理をする時間が必要だと思いました。幸いにも、妻の方から「山口の家族が心配だから山口に行ってもいいよ」と切り出してくれました。子供と3人で少しずつ話し合い、家族全員が納得の上で、2022年3月に移住をしました。
自然と旅行をしているような感覚になる山口
— 移住後の暮らし方や働き方について教えてください。
夫婦ともにフリーランスで、自宅を職場にテレワークで働いています。通勤時間がなくなり、家族との時間を確保できています。また、山口県はコワーキングスペースなどテレワーク施設が各地にあるので、たまに車で各拠点に行くのが楽しみの一つになっています。移住したすぐの頃、妻は知り合いがいなかったので、コンシェルジュの方がいる拠点だと日常会話ができ、心の支えになりました。さらに、夫婦ともに温泉好きで、山口で車を走らせていると自然と旅行しているような気分になります。子供は部活動に入って新たな友達もでき、以前より社交的になり、すっかり山口弁になって暮らしに馴染んでいます。

子供たちが将来山口で働きたいと思えるように
—今後、山口でやりたいことや挑戦したいことを教えてください。

自宅以外にもいろんな拠点でテレワークをする中で、少しずついろんな方と交流する機会がありました。そこでつながった方々とお互いの領域やスキルを組み合わせて新しく仕事を生み出していきたいです。その中で、地元・山口の魅力を伝える仕事ができたらと考えています。そのために、いろんな場所やコミュニティに自ら足を運んでいきたいと思います。また、私自身が高校を卒業して地元を離れた身として、山口という土地で地域の人たちと新しい仕事を生み出すことを今の子供たちに伝えることができたら、子供たちも将来、山口で働きたいと思えるんじゃないかなと思います。
—最後に、山口県への移住に興味を持っている方にメッセージをお願いします。
都会の便利さや刺激とは異なる、山口のようなほどよい田舎の暮らしは、自然に囲まれながらゆったりとした生活感と居心地の良さを感じることができます。私の場合は、ビルや高い建物に囲まれた環境から、家から山が見えて、家の前に流れる川には蛍が飛んでいる、でも、買い物や病院などの生活や子育てには困らない環境にいて、それらが心の充実感につながっています。一方、都市に比べると仕事は少ないです。私も移住した当初は、クライアントは都市部企業でした。そのため、山口での仕事は“探す”というより“つくる”という感覚で、積極的に地域と関わることが大事だと思います。