縁もゆかりもない土地でも住んでみて見えてくるものがあった
太尾田栞さん
家族、子供、仕事・・いろんなタイミングが重なった
ー 山口県に移住するきっかけについて教えてください。
移住のきっかけは3つありまして、1つ目は夫が山口市出身で家業を継ぐのが決まったこと、2つ目は夫婦二人とも子育ては地方でしたいと思っていたこと、3つ目は私が勤めている会社で遠隔勤務制度ができたことでした。子育てについては、私が長野県出身で夫婦共に田舎育ちだったこともあり、子供にも自然いっぱいの環境でのびのびと育って欲しいと思っていました。会社の制度については、現在、育休期間中なのですが、復職する際に会社を辞めずにテレワークで仕事を継続できる点は移住する背中を押してくれました。
地元から離れる不安と葛藤に向き合った日々
— 移住するにあたって何か不安だったことはありましたか?
夫が家業を継ぐことは結婚する前から想定していたので、あとは私の覚悟だけだったと思います。私は大学から東京に出てきて、就職先も東京で働ける企業を探していて、地元には車や新幹線でいつでも帰れる距離に居られればいいなと考えていました。ただ、いざ山口となるといつでもというわけにはいかず、帰省するにも時間とお金がかかり、決断するまで葛藤が続く日々でした。そんな中、コロナ禍で会社が完全にリモートワークになり、私自身は人事担当として遠隔勤務制度の立ち上げに関わる機会がありました。その後、その制度を活用することを上司に承認してもらって、その不安は解消できたと思います。
東京に住んでいた時より生活の利便性が上がった
— 山口市に移住してみて、自身や家族に何か変化はありましたか?
車を運転する機会が増えましたが、生活が不便になったとかマイナスの変化はほとんどないんです。むしろ家から徒歩1分のところにスーパーやドラッグストアがあって、東京に住んでいた時より普段の買い物の利便性が上がりました。近くに大きな公園もあるので、子供と散歩したりしてリフレッシュする時間になっています。都会に慣れてしまうと、地方は不便みたいなイメージはどうしてもあると思うのですが、山口市はそういったギャップがないのを住んでみて実感しています。
また、移住支援金制度を活用し、家のリフォームなどができたため、生活の質をより上げることにつながったと思います。ただ、山口市も含め多くの自治体においては、テレワークの場合は保育園入園に必要な点数が下がってしまうため、保活に苦労したり、もし第二子を望んだとしても市内の近くに無痛分娩を自由に選択できる病院がなかったり、妊娠・出産・子育て面については今後の改善を期待したいと思っています。
仕事と子育てのバランスを大事に暮らしていく
— 今後はどのような働き方や暮らし方をしたいと考えていますか?
仕事については今の職場に復帰する予定です。復帰後は完全にフルリモートでの働き方になるので、限られた時間や環境の中でも最大限成果を出していきたいと思っています。特に、私自身が今回、会社の遠隔勤務制度を活用してテレワーク移住をしたので、実際に活用してみて感じたこと等を制度改善に生かしていくことができたらと考えています。また、復帰後は生活リズムがガラッと変わると思うので、仕事と子育てのバランスをとりながら、子供には山口という土地でできる経験をさせてあげたいと思っています。
— 最後に、山口県への移住に興味を持っている方にメッセージをお願いします。
私の場合は、いくつかある自治体の中から山口市を選んで移住したわけではないのと、山口は夫の地元ということを除けば、縁もゆかりもない土地でしたが、住んでみると自然が豊かにも関わらず都市的な暮らしができて、移住する際の制度も整っています。暮らしやすさの尺度や何を大事にしたいかは人によって異なり、その軸に沿って情報収集や事前準備をしていくと思います。ですが、最終的には住んでみないとわからないことが多々あるので、さまざまな情報を並べるだけで決断するのではなく、自身の直感的な気持ちを大事に決断してみてください。