自分と家族の価値観やライフスタイルに合った地域で暮らす
吉田昌乘さん

私は香川県出身で、大学進学時に京都に移り、卒業するタイミングで同級生とゲーム制作の会社を立ち上げました。卒業後も京都で10年以上暮らしてきたのですが、その間にプライベートでは結婚をして子供が生まれました。その頃から少しずつ「将来、どこで子育てをするのか」「このまま京都に住み続けるのか」といったことを考えるようになりました。というのも、私も妻もお互いに両親と離れたところに暮らしていたこともあって、生まれ故郷にいた方が家族は安心しますし、育った土地の方が子育てもしやすいのではと思いました。

妻が２人目を妊娠し、上の子が翌年から幼稚園に入るタイミングで、妻の地元である山口県に移住することを決断しました。家族や子育ては大きな要因になりましたが、それ以外に私自身の仕事スタイルも決断に大きく影響しました。というのも、移住する前から週に1日、在宅勤務をするようになっていたので、住む場所が変わってもその延長で仕事は問題なくできるんじゃないかなと思いました。最終的に、会社のメンバーにも相談したら快く受け入れてくれたので、2020年1月に山口市に移住をしました。

山口市は妻の実家から1時間程度の距離で、妻の両親もよく遊びに来てくれます。とてもコンパクトなまちで、緑や自然が多く、徒歩圏内にスーパーやドラッグストア、子供と楽しめる公園や図書館、おしゃれなカフェやパン屋などがあって、意外と都会的な生活も実現できるまちだと思います。また、新しい住宅地が増えていて、同世代の家族も周りにいて安心感がありますし、畑仕事をしている近所のおばあちゃんから野菜や果物をもらうといったローカルな交流もあります。私が好きな芸術関連施設も充実していて、もともと古くからあるものと新しくできたものが融合した魅力溢れるまちです。

当初は山口に移住してからも、会社がある京都には定期的に行く予定だったのですが、移住してすぐに新型コロナウィルスの感染が広がって、ほぼ強制的に完全テレワークになりました。ただ、移住する前から在宅勤務をしていたこともあって、完全テレワークの働き方になっても仕事のパフォーマンスに影響は少なかったです。むしろ通勤がなくなったことで、朝は子供たちを幼稚園に送ったり、日中は下の子が小さいうちは泣けばあやしたり、夜も子供と遊んだりと、家族と過ごす時間が増えました。一方で、体を動かす頻度が減ったり、オンとオフの切り替えがしにくかったりと、テレワークならでの難しさも感じました。そのようなメリットやデメリットも一つひとつ経験しながら、自身に合う働き方を考える機会になりました。