仕事も暮らしもサステイナブルに
斉藤圭祐さん
安全な食と豊かな自然に魅かれて
— まずはじめに、山口県に移住するまでの経緯について教えてください。
生まれが下関市の彦島で、関東に移り住んでからも祖母に会うために下関へと訪れていました。結婚を機に関東地方の“ある高原”へと移住したのですが、小さな赤ちゃんを連れて過ごす山の上は厳しかったです。人里に降りるまで40分かかったほどだったので、景色はよかったのですが、住む場所ではなかったですね(笑)。どこに住もうかとリサーチしている時期に、ちょうどフルリモートワークになってしまい、全国どこでも仕事ができる状態になりました。僕はサーフィンをしますし、ゆかりのある下関市の川棚が候補に挙がりました。通ううちに、近隣のオーガニック農家さんと知り合い、安全安心な食と豊かな自然が揃っている場所だと分かりました。自分が携わる事業が、マーケティングや事業開発の分野から、SDGs推進に繋がるサステイナブルなプロジェクトに移行したのも、大きく影響したと思います。
※SDGs…持続可能な開発目標。2030年のあるべき姿を描いた17の目標と、それら目標を達成するための具体的な169個のターゲットによって構成。
※サステイナブル…人間・社会・地球環境にとって持続可能に豊かな世界であること。
家族にとっての“いい場所”を求めて
— 実際に移り住んでみて、この川棚という場所をどのように思いますか?
月に1回東京に行っていますが、立地はいいです。新幹線が停まる駅へのアクセスも30分以内、空港にも1時間以内にアクセスできるのも魅力的です。そして普段の生活で言えば、温泉街にも歩いていけて、海も山もとても近いんです。場所を選ばない仕事の方で、生活面で移住先を選ぶのであれば、駅近とかスーパーが近いとかじゃなく「どう豊かに暮らせるか」というのが大切じゃないのかと思います。あと、この地区にはオーガニックや自然農法で挑戦している農家さんが近隣にありますし、カフェもあるんです。自然もまちも、ありのままで素敵でしたね。一緒に暮らす家族にとっても、とてもいい場所だと感じています。
移住したこの地で手掛けたいこと
—この場所だからこそ、斉藤さんが取り組んでみたいことはありますか?
現在も都市部の大手企業の事業開発やサステイナビリティ推進の事業に関するコンサルを行っていますが、地方でのモデルづくりを自分自身が実践することに注力していきたいと考えています。もちろん、この地にはオーガニック農家さんもいらっしゃいますし、綺麗な山と川と海があります。だからこそ、この豊浦地区をオーガニックな価値観に溢れたまちにしたいと考えています。ここにある野菜や木材、生活をブランディングするサービスを、来年には自分自身の事業として開始していきたいです。まさしく、これまで自分が取り組んできたことと地域資源が見事にマッチングしました。
—最後に、山口での移住を検討している方へメッセージをお願いします。
まず伝えたいのは、生活のランニングコストが大幅に下がることです。都内だと家賃だけで…。ここなら物を買うにも、ちょっと工夫するだけで低額で済みます。場所を変えてもできる仕事だったり、住んでいる地域の資源を盛り上げていきたいという想いがあるなら、「移住」という選択肢は良いかもしれません。アウトドアをするなら、自然に囲まれていて最高ですし、何よりクリエイティブな気持ちになれます。あと、月1回行く都内への出張も楽しくなります(笑)。ただ、独身だとフットワークの軽さがありますが、僕たちのように子どもがいる家族だと移住は色々大変ですね。だからこそシミュレーションと下見が大事です。仕事ついでに3年かけ、計6回以上も見学に来たんです。暮らす上でのバランスを取らないといけないですし、家族でのMTGは必要です。自分にとっても、そして、パートナーにとっても「心地良い暮らしとは何か」を考えてみてほしいです。