祖父母の大事な名前を残すため、宇部へ。
重谷拓実さん
地方でも無理なく仕事をこなせる場所
—まずはじめに、山口県に移住するまでの経緯について教えてください。
私はずっと埼玉県育ちで、現在は東京のIT企業でテレワーカーとして働いています。移住については以前から視野に入れていましたが、コロナ禍でテレワークが定着し、東京の仕事も地方でできると思い、2022年4月に、宇部にある母方の祖父母宅へ移住してきました。移住する上で「仕事への支障を最小限に抑えられること」を重視していたので、東京まで片道3時間で着ける交通の便の良さも決め手でした。
家族間で浮上した「後継ぎ問題」
—移住に至ったきっかけなどはありますか?
複雑な話になりますが、母方の祖父母が「重谷」という名前を大事にしていて。でも重谷家の三姉妹は全員嫁いでいってしまったので、このままだと名前を継ぐ人がいないという話になっていました。私も今まで見ないフリをしていましたが、祖父母の子どもとして養子に入れば名前を継ぐことができると知り、また、テレワークの定着も後押しして宇部に移住できたこともあり、重谷家の長男として名前を引き継ぐことにしましました。
都会にはない発見がここにはある
— 山口に移住してから、暮らしの中で何の変化がありましたか?
開拓心が芽生えたように感じます。実は東京に飽きていた部分があって、どうしてもやっていることが全部同じで、新しい感覚がないように見えていました。でも、山口県に来てからは「探す」ことがまず楽しくて、日常の中での発見がたくさんあり、外に出る機会も増えました。特に甘いものが好きなので、休日は行きたいところを事前にブックマークして県内のカフェ巡りによく出かけます。宇部は交通の便が良く、車さえあればどこへでも行けるので、東京や埼玉と比べて不便を感じるような生活面での大きな変化はありません。
多くを求めず、助け合う暮らし
— 最後に、山口での移住を検討している方へメッセージをお願いします。
ほとんどのことは、来てからなんとかなると思います。何か困ったら助けてもらえる手段がいくらでもあるので、それを活用しながら飛び込んでみると良いかもしれません。今の生活も祖父母や市役所の方々に助けてもらっているので、そういった人たちをうまく自分側に引き込んで一緒に悩めるように工夫すると良いかと思います。また、自分が移住に向いているかは動いてみないとわからないことが多いです。動き出すのに時間がかかる人もいますが、そういった人は条件をたくさん作りがちで、こだわるポイントを1つに絞れたら長い目で見て生活が楽になると思います。