やまぐち創生テレワーク実践者・ワーケーション体験者の声
EXPERIENCE
(実家である築90年の古民家で暮らす家族3人)撮影:星野聡子

生まれ故郷でアーティストをサポート
蔵田(陣内)靖さん・章子さん

都市部から山口県に移り住んだきっかけ

— まずはじめに、お仕事の状況や山口県に移住された経緯について教えてください。 

蔵田 靖:コロナウィルスが広がり始めた2020年2月頃に勤め先の会社がフルリモート勤務になったため、山口県に移り住むことを決めました。私は長崎県佐世保市出身で東京に住んでいたのですが、妻の仕事の関係もあり、働き方が変化したことを機に本格的に拠点を山口県に移しました。 

蔵田 章子:私は山口県山口市で生まれ育ち、東京の建築設計事務所で働いていました。2012年にDo a Frontという団体を立ち上げ、アーティストが山口県に滞在し作品制作に取り組むアーティストインレジデンスという事業を行うため、山口と東京を行き来する生活をしていました。コロナ以前はプロジェクト毎に実家に帰省して事業を行っていましたが、現在は主人と娘と共に2拠点居住を開始し、1年の8割を山口県で過ごしています。

(章子さんが立ち上げた団体の事務所)

地方創生テレワークを実践して感じる面白さ 

— 山口県で地方創生テレワークを実践する楽しさ・面白さをどのような時に感じますか? 

(無農薬野菜を生産者から直接購入)

蔵田 章子:生産者の方が身近にいるので新鮮な野菜や魚がすぐ手に入りますし、なによりも萩焼の器で呑む山口の日本酒は格別です。アーティストインレジデンスのプロジェクトに参加されるアーティストの方たちと一緒に、山口県内の様々な場所を訪れる機会が多いのですが、普段何気なく手にしている商品でも、その生産工程を見学すると生産者の方の丁寧なものづくりに感激します。作り手の想いや生産の裏側を知ることで、日々の生活がより豊かに楽しく感じられます。 

蔵田 靖:私は頻繁に人に会うような職業ではなく在宅で仕事が完結するので、仕事以外の多くの時間を育児に充てることができて毎日充実しています。築90年の古民家に住んでいるのですが、広い家で伸び伸びと子供を遊ばせたり、近くに住む妻の両親と一緒に子供の成長を見守りながら子育てができたりするのは、山口県に移住してテレワークを実践しているからこそだと思います。 

移住して山口県で仕事をするメリット・デメリット 

— 山口県に移住して働く上で良かったこと、課題と感じることを教えてください。

蔵田 靖:在宅勤務をしていると、集中して仕事に取り組みたい時に困ることがあります。そういう時は山口県庁内のシェアオフィスを利用するのですが、近くにリモートワークができる環境が整っているのは良いところだと思います。私のような働き方はまだ一般的ではないと思いますが、これからは自分の好きな場所で仕事ができるような働き方が増えていくと考えているので、私自身も日々工夫しながら実践しています。 

一方で、会社としては社員がリモートワークをする上での課題もあるようです。新しいメンバーが入った時に手取り足取り業務を教えることができないので、特に教育面での課題が大きいですね。円滑なコミュニケーションを図ることができるように、今も様々なツールを使いながら試行錯誤しています。 

(徒歩圏内にある山口県庁内のテレワークオフィス)

蔵田 章子:私はフリーランスで働いているため仕事の波があり、日常的に子供を保育園に預ける必要はないのですが、忙しい時はベビーシッターをお願いしています。都内で暮らしていた時は徒歩20分圏内に子育て支援センターがあったり、一時保育の施設が複数あったりしたのですが、山口県ではベビーシッターの予約がすぐに埋まってしまいサービスを受けられないこともあるので、子育て支援については少し課題を感じています。最近はそうした課題意識から、同世代の子育てをするお母さんと一緒にシェア託児のようなことができないか模索しているところです。

周囲の協力で実現した山口県での暮らし 

— 移住をするにあたり、会社とはどのような調整を進めたのでしょうか? 

蔵田 靖:私はすでにリモートワークを実践している方に話を伺ったり、人事や社内のメンバーと「どうすれば円滑にコミュニケーションが図れて仕事に支障がでないか」について、地道に話し合いを重ねました。私一人で実現することは難しかったと思いますが、職場が新しい働き方に対して理解があり、リモートワークを取り入れるために必要なルールや環境を整えている最中だったことも、実現できた要因だと考えています。 

— 山口県とのつながりがなく都市部でしか暮らしたことがない人が、移住について相談できるような機会はありますか? 

蔵田 章子:いきなり移住をすると戸惑うことも多いと思うので、まずはふるさと回帰支援センターなどに行って相談するのが良いと思います。私はコロナ前から移住を検討していたのですが、ふるさと回帰支援センター(やまぐち暮らし東京支援センター)に何度も足を運んで情報を集めました。山口県の担当者の方に親身になって相談にのってもらい、様々な接点をつくっていただけたのは非常に助かりました。 

(やまぐち暮らし東京支援センター)

生活をして実感する、山口県の暮らしやすさ 

— 最後に、あらためて山口県で暮らす魅力について教えてください。 

蔵田 章子:懐が深く温かい人がたくさんいて、何かをしようとするとすぐに助けてくれるのはありがたいですね。少し相談すると皆さん親切に力を貸してくれるので実現までのスピードが速く、生活をするにも仕事をするにも周囲の人たちに支えられています。

蔵田 靖:東京から山口に移住して1年ほど経ちますが、車の運転ができない私でも不便なく生活できています。山口市中心部は商店街が充実していて生活必需品は十分揃うので、快適に暮らせる環境です。新山口駅まではバスで行ける距離なので、新幹線で旅行に行くのにも不自由はないですね。何よりも都市部から移住してゆったりとした生活を送れることは私にとって一番の魅力です。

(畑で仲間と採れたての野菜を食べる)